時をつなぐ無線という仕掛け
物語の出発点は、現在のプロファイラーと過去の刑事が一台の古い無線機でつながるという設定です。タイムスリップものに見えますが、この仕掛けはファンタジーを楽しむためというより、一つの事件を二つの時代の視点から同時に見せるための道具に近いものです。過去での選択が現在の捜査にどんな痕跡を残すのか、現在で分かった事実が過去の刑事にどれほど重く届くのかを、交互に描いていきます。ジャンルは捜査ものでも、観ている間ずっと「あのとき別の選択をしていたら」という問いを抱えることになります。
未解決事件へのまなざし
この作品が照らすのは、犯人を捕まえる爽快感よりも、長く解決されなかった事件が被害者の家族や捜査に関わった人々に残した時間です。韓国社会に深い傷として残る実際の未解決事件を思わせるエピソードもあり、娯楽としてだけでは観にくい場面もあります。一つの事件が数話にわたって続く構成なので、手がかりが積み重なり、やがてつながっていくリズムを追う面白さが大きく、事件が変わるたびに物語の温度も変わります。
作り手とキャスト
脚本は、法医学ドラマ『サイン』や大統領警護を描いた『スリーデイズ』を手がけたキム・ウニ。のちに時代劇とゾンビものを掛け合わせた『キングダム』でも知られる脚本家で、ジャンルの約束事を守りながら社会への問いを差し込む作風が本作でもはっきり表れています。演出は『ミセン』のキム・ウォンソク監督。人物の表情や沈黙をじっくり映す演出が、捜査ものの緊張感とよくかみ合っています。現在のプロファイラーをイ・ジェフン、過去の刑事をチョ・ジヌン、二つの時代にまたがって登場する刑事をキム・ヘスが演じています。
- 放送:2016年 tvN、全16話
- 脚本:キム・ウニ(『サイン』『スリーデイズ』)
- 演出:キム・ウォンソク(『ミセン』)
- 出演:イ・ジェフン、キム・ヘス、チョ・ジヌン
二つの時代を見分けるコツ
過去と現在を頻繁に行き来するため、最初は今の場面がどちらの時代なのか戸惑うかもしれません。小道具や街並み、携帯電話があるかどうか、登場人物の髪型や服装が、時代を知らせるいちばん確かな手がかりです。同じ場所が二つの時代にわたって繰り返し登場する場面も多いので、その場所がどう変わったかを見比べると、物語の時間の感覚がぐっと鮮明になります。最初の数話だけ意識して観れば、あとは自然についていけます。無線機が鳴る瞬間はたいてい二つの時代が触れ合う場面なので、その前後を特に注意して観ると流れを見失いません。
初めて観る人へのヒント
毎回きれいに事件が完結する構成ではなく数話にわたって続くので、とびとびに観るより何話かまとめて観るほうが入り込みやすいです。人物名や事件名がたくさん出てきますが、最初は主要人物三人の関係さえ押さえておけば十分です。
- 第1話と第2話は続けて観る
- 過去か現在かを示す小道具に注目する
- 一つの事件が終わるところでひと息つく
- 関連情報の検索は観終わってからにする
観る前に知っておきたいこと
殺人や失踪事件を扱うため、犯罪の場面や緊張感の高い描写がかなりあります。実際の事件を思わせる題材に気持ちが重くなることもあるので、こうした物語が苦手な方は、視聴年齢の区分や各話の案内を先に確認しておくと安心です。劇中の捜査の進め方や法的な手続きは物語のために凝縮されている部分があり、現実の捜査とは同じではない点も心に留めておいてください。重く感じる回が続くようなら、一つの事件が終わったところで一日ほど間を置いてから観るのもよい方法です。
日本版リメイクと見比べる
2018年には日本でリメイクドラマが制作されました。同じ設定を、それぞれの国の時代の風景や警察組織に合わせてどう移し替えたのかを見比べるのも、また違った楽しみです。原作を先に観れば物語の骨格が、日本版を先に観れば原作が韓国社会のどんな記憶に寄りかかっているのかが、よりはっきり感じられるはずです。どちらから観ても、二つの作品が同じ問いに異なる温度で答えている場面を探してみてください。
こんな人におすすめ
一つの事件にじっくり向き合い、手がかりをつなぎ合わせていく推理ものが好きな人、ジャンルドラマの中で社会的な問いに触れたい人によく合います。キム・ウォンソク監督の『ミセン』や『マイ・ディア・ミスター』が好きだった人なら、人物の感情のすくい取り方に共通点を感じるでしょう。反対に、気軽に流し見できるドラマを探しているなら、かなり集中力のいる作品だと分かったうえで観始めるのがおすすめです。
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